そこへ、都会から家柄が良く教養のある青年がやってきて
彼女をモデルに絵を描きました。
二人は恋に落ちるのですが
当然のように青年側は賛成はしませんでした。
ある日突然、彼女の元へ、青年の母がやってきて彼女に質問をしました。
「今、息子は、あなたの外見に惹かれて結婚しようとしています。
でも、しばらく時間がたつと、自分とは何もかも違うあなたに失望して、結婚したことを後悔するでしょう。」
「あなたは息子の重荷になりたいですか?」
彼女は答えました。
「私は彼を愛しているので、重荷になりたくありません。」
「では、私と会って私から言われたということは話さずに
息子と別たいと手紙を書いてください。」と母親は言いました。
そこで彼女は、彼にひどい手紙を書きました。
「あなたがお金持ちだったので、ちょっと遊んでみたかっただけです。」わざわざ、誤字脱字入りで下品になるように書きました。
そして、彼はそれで納得したのでしょう。
二度と連絡は来ませんでした。
彼の心に綺麗な自分を残すこともしないで、
跡形もなく消し去ったのです。
彼女は生涯を独身のまま終わりました。
これは赤毛のアンシリーズに出てくるお話ですが
こういう愛情を、私たちは忘れてしまっていないでしょうか。
人は、本当に相手を愛した時、
自分がどうなっても相手の幸せだけを願うものなのですね。